SMBCフレンド証券為替相場見通しから考えられる対策

SMBCフレンド証券為替相場見通しから考えられる対策

悪材料出尽くしでリスクオフ心理が消え去るのを待つのみか

2016年の年明けは格言どおり騒がしく始まった。中国のさえない経済指標や人民元の対米ドル相場の基準値の切り下げにより中国株が急落すると、世界の株式市場にも下落が波及し、リスク資産である新興国通貨が大きく売られた。また、原油価格が急落したことや中東情勢の緊迫化もリスクオフを加速させた。こうした中、安全資産とされる円買いが進み、一時対米ドルで円は116円台まで上昇。12月の米雇用統計は好調で米経済が底堅いことを示す内容となったが、各市場のリスクオフ心理を打ち消すにはいたらなかった。当面はこの冷えた市場心理が戻るのを待つしかない。きっかけとなるのは、中国当局の政策対応であろう。

世界銀行は、1月6日に発表した世界経済見通しで、資源価格の下落や中国など新興国の景気停滞懸念を受け16年の世界全体の成長率を15年6月時点の予想(3.3%)から2.9%に下方修正した。1月下旬発表とみられる国際通貨基金(IMF)の経済見通しでも同様の内容となれば、リスクオフが強まる可能性がある。
為替相場見通し|SMBCフレンド証券

引用した文は、SMBCフレンド証券のアナリストが発表した2016年の為替相場の見通しです。今回はその内容について見てみましょう。

相場格言があてはまった2016年初頭

辰巳(たつみ)天井、午(うま)しり下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)はつまづき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる。
株式相場格言・戌はほんとうに笑うの?[株・株式投資]All About

からきています。これは干支の一回りの金融取引の動向をまとめたアノマリー(経験則)であり、それなりの精度があるアノマリーとして知られています。
世界中の株式市場が1割から2割程度の下げ幅を記録した2016年初頭は、まさに「申騒ぐ」が当てはまるといえるでしょう。

資金のリスクオフの加速

リスクオフ(危険回避)要因として原油価格の低迷や中東情勢の緊迫化、新興国通貨の持ち分の処分があげられていますが、それぞれの内容を見てみましょう。原油価格の低迷は、アメリカでシェールオイルの商業生産が軌道に乗ったことで、OPEC加盟国がシェアを維持するために需要を上回る供給を維持しているために市中在庫がダブついていることが大きな原因です。

中東情勢は2003年のイラク戦争に続く治安維持戦に失敗したイラクの不安定化と、2010年のいわゆる「アラブの春」によるシリア内戦によるISILの浸透と勢力拡大があげられます。ISILは、シリア難民の大量流入による社会不安の深刻化や、フランスでの同時多発テロを計画・実行したことで主要国から袋叩きにされて急速に勢力を衰えさせていますが、それでもこれまでのイスラム過激派組織とは一線を画する規模を持つため、今後も油断できない過激派組織の1つです。

これらの要因に2015年夏から続く中国経済の失速が重なり、主要国の投資家が新興国に投資していた資金を引き上げているため通貨安が発生していることが新興国経済にとって大きな痛手となりつつあります。逆に新興国から引き上げた投資資金の避難先として重宝されている日本円は、金融緩和と円安誘導、インフレターゲットの設定でデフレ脱却をめざす「アベノミクス」とは正反対の動きであり、1ヶ月という短期間で米ドルに対して5円も高くなったため、金融緩和の恩恵を受けていた大企業からも苦しい声が聞こえてきています。

これらの動きに引きずられるようにNYダウが1ヶ月で2,000ドル近く下げるなど、堅調に推移していたアメリカ経済の先行きも怪しくなりつつあります。

投資家のリスクオフの動きに対策はあるのか

このような投資家のリスクオフの動きに対して、何らかの対策はあるのでしょうか。既に大規模な金融緩和を行なっている欧州や日本にこれ以上の景気対策を求めるのは現実的とは言えないでしょう。期待できるのはつい先日利上げを実施したアメリカですが、ここで再び金融緩和を行うことも考えられません。やはり原因となっている中国当局の適切な対応に期待したいところですが、株式市場の安定化を目的として導入したサーキットブレーカーを導入から1週間も絶たないうちに運用停止にするなど、政策の一貫性のなさが大きなネックとなりそうです。

おわりに

2015年夏の中国経済の失速をきっかけとする世界経済の先行き不透明感は、当面の間は晴れることがなさそうです。
先行きの不透明感を見越すならば、リスク管理をキチンとおこなうことで、積極的に利益を狙う取引をおこなうチャンスと言えるでしょう。