慌てないようにしたい。2016年1月~3月の世界経済見通し

2016年1月~3月期_アイキャッチ

年明けから下落が続く世界の株式・為替市場

日経平均は2016年の取引初日である大発会から18日までの10日間の取引のうち、1日を除いて全て前日終値を下回って終わり、1万9千円台から1万7千円台まで2千円以上下げました。
為替も対米ドルで1ヶ月で5円以上高くなり、正に恐慌の手前という様相です。

アメリカのNYダウも、年末の終値1万7千ドル台から1万6千ドルを割る水準まで下げ、更にヨーロッパの主要な株式市場も2015年末の終値から1割から2割程度下げた水準での取引が続いています。
日米欧の株式指数がここまで低迷している大きな理由としてあげられるのは、2015年夏の中国経済の急速な失速です。

2015年夏の上海株式市場の急落が尾を引く世界経済

リーマンショックによる世界金融危機により、世界の主要国が経済対策に奔走する中でも中国は比較的大きな影響を受けませんでした。主要国が金融緩和まで含めたあらゆる景気刺激策を取る中で、唯一大規模な公共投資だけで対応できたために2010年にはアメリカに次ぐ経済規模を持つこととなった中国は、積極的な海外進出とアメリカに対抗する勢力圏の確立を狙います。
そのために積極的に株式市場に個人投資家を呼び込み、信用取引を行うことで経済規模の維持を狙います。「股民(グーミン)」とも呼ばれる中国の個人投資家は、信用取引まで含めた積極的な株式取引を継続することで経済規模の維持に貢献しました。

しかし2015年夏に膨らみすぎた信用取引に対して規制が導入されたことをきっかけに、それまで好調に推移していた上海株式市場は1ヶ月足らずで5千ポイント台から3千ポイント台まで急落することとなります。この急落の影響は中国国内に留まらず、日欧を中心とする世界経済にも波及することとなりました。
中国当局は取引停止も含む強硬な手段を取ることで株式市場の混乱をひとまずは収めましたが、同時期に発表されたシャドーバンキング(ヤミ融資)規制の導入による地方の不動産取引の冷え込みにより、実体経済の冷え込みが明らかになります。

このように中国経済が急速に冷え込んだタイミングで、アメリカでシェールオイルの商業生産が軌道に乗ったために40年ぶりに原油の海外輸出を再開します。
主要な原油供給国で構成されるOPEC加盟国はこの動きに対抗するため、生産量を維持することでシェアの維持を狙い、それまで1バレル=100ドルで高値安定していたWTI(West Texas Intermediate =ウェスト・テキサス・インターミディエイト)は、1バレル=30ドルの大台を割り込み、原油輸出で外貨を稼いでいるOPEC加盟国を含む産油国経済を痛めつけています。
このように2015年夏の上海株式市場の急落をきっかけとする世界経済の冷え込みは、長引く兆候を見せています。

2016年第1四半期の日本経済はどうなるか

2012年末の衆議院選挙で政権党に復帰した自民党は、徹底した金融緩和とインフレターゲットの設定による経済政策「アベノミクス」により、バブル崩壊から続くデフレ脱却を目指しています。
このアベノミクスはある程度の成功を収めつつあったものの、アクセルを踏みながらブレーキを掛けるとも皮肉られる5%から10%への消費税増税をはじめとする負担増や、世界経済の冷え込みにより成功分を帳消しにしつつあります。
特に2016年に入ってからは重視している日経平均株価が2千円以上下げ、為替も対米ドルで5円以上高くなるなど、逆風は強まりつつあります。

2016年第1四半期の世界経済はどうなるか

中国の隣国である日本は「政冷経熱」とも言われるほど経済的な結びつきが強く、中国経済の冷え込みの影響をモロに被りましたが、遠く離れた欧米経済はどうなったのでしょうか。こちらも影響は大きいものがありましたが、その内容には若干の違いがあります。

比較的中国経済と結びつきの強かった欧州経済は、シリアからの難民流入による治安の悪化といった問題も絡んだために難しい舵取りを迫られています。
これに対してアメリカは、世界金融危機以降続いていたゼロ金利政策を12月のFOMC会合で終了することを決定するなど、比較的影響は小さいと考えられていました。
しかし年をまたぐと世界経済の失速に囚われ、冒頭でも触れたようにNYダウは2千ドル以上の下げ幅を記録するなど、好調と言われたアメリカ経済にも陰りが見えていると言えます。

おわりに

中国経済の冷え込みに端を発する世界経済の減速は、しばらくは株価や為替、実体経済に悪影響を及ぼすことが予想されます。
ある程度の動向が読めるようになるまでは、できるだけリスクを小さくした取引を心がけたいものです。